「犬・犬・犬」(全5巻)(2000ー2)

小学館

花村萬月さんの書き下ろし原作がすばらしかったです。 原作のよさが伝わらなかったとすれば、それはすべて漫画家の責任でしょう。

どうにも読者が感情移入できないような主人公をたてておいて、ラストまで読み切ると、その主人公の存在を肯定せざるをえなくなる、そういう、力でねじふせられるようなストーリーの力というものを花村作品には感じます。
この作品も、過激な暴力シーン、セックス描写がありますが、最後まで読んでいただければ、作者が何をいわんとしたかがわかっていただけると思います。
花村さんは、最後、ちょっとだけ主人公を救うんです。
その救い方が実にこころにくい。
花村さんは読んでいなかったのですが、偶然「トトの世界」ととても構造が似ています。主人公のマヒケンも、トトも幼い頃から監禁されていて、世界との距離感がつかめない。しかし、トトは言葉によって、マヒケンは絵を描くことによって、世界をすこしずつ認識していくのです。

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